君への小さな想いを掲げて *my first love*

目を開けば、そこには拳を私に向けた1人の不良男子。
いつの間にか、私だけが不良男子に囲まれて日和ちゃんは地べたに座り込んでいた。

「…うぜぇんだけど。女のクセしてそーやってヒロインぶる奴一番、キモイ。」

そういってリーダーらしき男子は私の頬を拳で殴った。
あまりの痛さに尻餅をつくと、不良達は私をあざ笑うように見下ろした。

「だっせ。なんも出来ねぇんじゃん」

「…。」

「何か言えるなら言ってみろよ」

そう言ってリーダーらしき男子は私を一蹴りする。
それを見てた日和ちゃんは小さく悲鳴を上げた。

「…うっ…」

痛くて体を抑えると、不良達は「やべぇ」といってどこかへ走り去っていった。

「君、大丈夫かい？全く…女の子なんだから、そういう時は助けを求めなさい。あの子達は捕まえておくから、君は病院に…」

不良達が逃げたのは駅員さんが来たかららしい。
駅員さんは私に手を差し出す。

「…っ大丈夫です。病院もいいし、捕まえなくても、いいで、す。」

「何言ってるんだ！その怪我は」

「いいんです！」

私がそう言って立ち上がると、駅員さんはふぅっとため息をつく。

「…はぁ。捕まえない、ということは出来ない。目撃した人も大勢いる。またこのようなことが起こっては駅が使えないだろう。君が無事であるならばいいが、必ず彼らには謝りに行かせる。分かったね？」

「はい…」

「病院にも行くこと。絶対に。」

「…。」

無言で頷くと、駅員さんはホームを駆け上がっていった。
視線を日和ちゃんに向けると、日和ちゃんはぶわっと涙を流してこちらに駆け寄ってくる。