君への小さな想いを掲げて *my first love*







そして春。
見事行きたかった高校に合格し、憧れていた制服で登校する日々が始まる。

受験会場に行く時に乗った電車に乗り込み、受験会場からの帰りに座った車両の席に腰かけた。

確か、ここに座ったとき、目の前の席にちっちゃい同い年の子座ってたよね。
私のこと、高校生だと思い込んでた子。

顔を上げて目の前の席を見る。
だが、あの時のちっちゃい子は座ってはいなかった。

そりゃ、そうか。

逆にここでまた会ってたら奇跡だもんね。

そう思ってイヤホンを耳に突っ込んだ瞬間だった。
すぐそこの閉まりかけの電車のドアから一人の男の子が駆け込んできたのは。

「…はぁ…はぁ…っぶねー…」

男の子は息を整えて、小さく何か呟くと、私の目の前の席にドカッと腰かけた。
その顔をみた瞬間私の心臓は大きく波打つ。

そう、あの時のちっちゃい子だったから。






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