君への小さな想いを掲げて *my first love*
臆病者。
弱虫。
お前。

私をそう呼んだ優くんは、きっと誰よりも私が好きだったんだって、勝手に思う。
もしどうでもいい奴ならあんな風に怒ったりしない。

ありがとう。

まだちょっと怖いけど進めそうな気がするよ。
さっきまで怒鳴り声が聞こえてきた携帯を閉めて、手で握り締める。

でも。

まずは気持ちを伝える前にやらなければならないことがある。
ちゃんと避けないで謝りに行くこと。

日和ちゃんにも光くんにも。

日和ちゃんは事情を知っていたとはいえ、毎日私の姿があるか探してくれたなんて知らなかった。

余計な心配かけちゃダメだな。

光くんにはまだ自分の気持ちを伏せて、避けた理由を言わなきゃ。
きっと光くんは自分のせいだとか、思ってしまっているかもしれない。
思っていなくても、私に何かがあったことくらい悟っているはずだし。


あれこれ考えても仕方がないか。

携帯を枕元におき、私は布団をかぶったまま横たわった。
神様、私に力をください。

これから私は彼に気持ちを伝えます。

勇気をください。



そう願って意識を手放した。






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