君への小さな想いを掲げて *my first love*
翌日。
私はいつもより早めに家を出た。
朝に光くんに会える訳じゃないけど、私は自然と勇気があふれ出していた。
神様、ありがとう。
心の中でお礼を言いながら電車に揺られ、学校につく。
丁度、朝練習をしている生徒以外生徒が少ない時間帯。
教室には私しかいないはず。
…そう思っていたのは間違いだった。
私と同じ考えの人もいるようだ。
席に座ると、隣から視線が刺さる。
私も横目で見ると、ばっちり目があった。
その人-優くんは顎で私の机の上を指す。
慌てて机に視線を移すと、そこには1枚の紙切れがあった。
折りたたまれた紙切れを開くと、中にはちょっと乱暴な字が綴ってあった。
『話しかけるなよとはいったけど、俺から話かけたらジェスチャーで返事すること。』
ちょっと笑いそうになったのを抑えて、優くんをみると怒ったような拗ねたような顔で私を見ていた。
「もし希凛が、振られたら、俺は希凛にめっちゃアタックするから」
無言で頷く。
でもきっと、私は振られる以外の答えなんて返してもらえないよ。
2人で言葉とジェスチャーで会話していると、ぞろぞろと人が入ってくる。
もちろん彩は真っ先にこちらへ向かってくる。
優くんは周りを見て、「よし」と呟くと立ち上がった。