君への小さな想いを掲げて *my first love*





「ふー…。あのハゲコーチョー話ながすぎるわ」

隣で、手をパタパタと仰いでいる女の子は私の幼馴染の原田彩。
丁度同じクラスで、いま入学式の帰り。

「てかさ、クラスにカッコイイ人いなかったねー」

「あぁ…私別に興味ないし…」

「何言ってんの!希凛可愛いのにー…」

高野瀬希凛。
それが私の名前。

背が高いのに名前まで…。
タカノセキリンって…。

ギャグかよ!って突っ込みたくなっちゃうよ。

「可愛くないって。それに電車で朝男の子に…っあ。」

言おうとして口を閉じた。
彩は男の子というワードに反応し眉をぴくぴく動かす。

「電車で、男の子に?…え、何一目惚れ?」

「…さ、さぁ?」

「…まーいいけど。希凛のことだから、背高くてイケメンなんだろうなー」

彩の言葉に心無しか私は自信をなくした。
背…低いし。
イケメンっていうよりは可愛い感じだったし…。
ていうか、一目惚れなんかしてないよ、うん。

「背低くて可愛い系絶対無いって前言ってたもんね、希凛」

…そんなこといったような…。

「私の期待に沿ってたら、希凛、その男はやめとけ!…なーんてね。希凛が好きになったならきっといい奴だよね」

「だから別に好きって訳じゃ…」






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