君への小さな想いを掲げて *my first love*
「俺は、高野瀬に振られたんだ。付き合ってねぇからな。把握、よろしく。」

堂々と立ち上がり、私に微笑みかけながら振られたと断言した優くん。
私は驚きはしなかった。

やるだろうなって思ってたから。

クラスの皆はそれぞれ返事をして優くんの元に集まっていく。
私は囲まれると思った瞬間、彩に手を引かれてクラスの人ごみから抜け出した。


「あんた…振ったの?」

「うん」

「戸部山くん諦めたとかふざけたこと言ってるからてっきり矢杉に乗り変わったのかと思った。」

「私、叱られちゃったから。」

「え、誰に」

「優くんに。逃げてるだけだろって。だから逃げないことにした。頑張って気持ち伝えてみる。」

私がそういって微笑むと、彩はうるうるした目で私を抱きしめた。
心配してくれたんだね、ありがとう。

彩の背中を撫でて、私は体を離す。



「ともかく今日は、先に光くんに謝ることから」


「おいっ」

彩に言いかけた言葉をさえぎるように、優くんの声が耳に入る。
優くんは私に近づき、携帯を私の前に突き出した。


『俺、親父と一緒にアメリカ行くことにした。親父、アメリカの有名な病院から呼び出しかかってるらしい。てか、それだけじゃなくて、医者を育てる学校があるから俺、そこに留学しようと思ってる。親父もそこで卒業したらしいんだ。2週間くらい前からこの話がきてたんだけど、正直迷ってた。でも、俺医学、勉強したいって本気で思ってたから行くことにした。相談しないで勝手に決めてごめん。出発は今日の夜の便。見送り、来たかったら来いよな。ps:あんまり人に言わないで。 from KO』







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