君への小さな想いを掲げて *my first love*
そのメールを見て、私は固まる。

「これ…光くん…から?」


「間違いない。あいつはこんなウソつくような奴じゃない。マジだ、あいつ。」

優くんの顔にも焦りが見えた。
当たり前だ。
従兄弟が急にアメリカへ留学するなんていつきいてもびっくりする。

「まてよ、今日和とも連絡とる。おい、希凛、行くぞ」


「うんっ」

優くんのあとをついて教室をでる。
クラスメイトのどよめきや彩の声が聞こえたけど、今そんなことに構っている場合じゃない。

今日の夜、光くんが、いなくなる。


気持ちを伝えないまま。
謝れないまま。

「あ、日和か?…あぁ。こっちもいまメール気づいて戸惑ってんだよ。まったくあいつ、よりによってなんでこんな時間に連絡すんだ!…ああ。じゃあ、ホームに待ち合わせで。


門を出てすぐに優くんがこちらを振り向いた。


「日和ともホームで合流することになった。ったく光何考えてやがる!」

「空港までここからじゃめちゃくちゃ遠いよね…」

「あぁ…。とりあえずホームに行って3人で考えよう。」


優くんは私の手をとって走り出す。
私も辛うじてついていく。

光くん。
待ってください。
私の気持ちを聞いて。










< 81 / 93 >

この作品をシェア

pagetop