その「ひとこと」の先
2番線に~方面~行きの電車が参ります♪♪
会話は、途切れ途切れだったものの彼と2人きりでこんなに長く話をすることは滅多にないから、とても嬉しかった
と言っても、帰る駅が一緒だから、電車の中でも話せるんだけど
「早く乗んないと、席が」
少し焦りながら、電車に乗り込む私たち
開いていた席に座る昇くんに続いて、私も向かい側に座る
私たちがいま乗っている電車は、東武線だから、ボックスの様に2席が向かい合う形で4人座れるようになっている
さっきより近い距離に、緊張する私に対して、平然としている昇くん
そうだよなぁ。昇くんは私のこと、そういう風には見てないもんなぁ
とっくの前から、知っている
仲良くなるにつれて、嬉しいのに、寂しくなる心
あぁ。もう今のままがいいって、そう決めたのに...
「電車、発車するまであと5分もあるんだ~」
だるそうにそう言って、携帯をいじり始める昇くん
「そうみたいだね。長いね~」
笑いながら返すしかなかった
私は一緒に居たくても、昇くんは早く帰りたいのだろう
「...俺、足湯行こうかな~。いつもの駅の1つ先のとこの」
そう呟いた彼の言葉に、ドキッとした
...家まで一緒に帰れないんだ...
めちゃくちゃ近所というか、同じ寮というか。
とりあえず、帰る場所が近いからもっと今日は居れると思ったのに
電車が出発し、ゆっくりと各駅に止まり、進む
他愛もない話を重ねながらも、私は少し焦っていた
...あたしも一緒に行ってもいいかな?足湯。
そう言うか言わないかで、迷っていた
言えば、OKは間違いないのに、なかなか出ないその言葉は私の心をシュンとさせる
自分の勝手な妄想だ。
私と話すときも気を使っていてめんどくさい??
せっかく一人になろうとしているのに、ついて行ったらウザい??
...そう思うと、言い出せなかった