魔物☆に恋して
さっきの人が動いてる。

丈の長い、薄いシャツ。

それを、胸元のボタンを数個だけ留めて、

上着のように羽織っている。

その格好で、ゆらゆらと立ち上がる。

こっちを見る。

目があった。

彼はそのままふらふたした足取りで、

こちらへ来る。

歩きながら、しっかりした足取りになって。

真っ直ぐに、あたしの方を見ながら。


「知り合い?」


怪訝そうに訊かれる。

でも、知らない。

そばに来るほど、その姿が、

自分の好みにぴったりはまっていることがわかってくる。

何て、かっこいいんだ。

目が、離せない。

彼は、窓の外まで来た。

それから、

窓に、手のひらをくっつける。

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