魔物☆に恋して
「女王!?いないのかな?」

あの声は、ルイカ。

ルイカが、クモ達に向かって呼びかけている。

「この群れのリーダーだろ?美人の女王はいないのか?」

群れのうじゃうじゃした動きが止まる。

静かになって、

ひときわ大きなクモが、

長い足をゆっくりと運びながら、ルイカのそばに歩み出た。

「君が女王か。さすがに超美人だな。

こんな大群を率いるのは、とても大変だとは思うが、

ここには住人がいる。

家を避けて、本来の道だけを通ってくれないか?」

巨大なクモは、じっと、その言葉に耳を傾けているように見えた。

それから、ゆっくり群れの中心に戻ると、

群れは、さっと、家を離れた。

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