イズミの主義


その壁にイヤと思うときなんてなかった


その壁に安心してた





でも今はこの壁がすんげームカツク






それからそんな光景を良く見かけるようになった


その度にオレはいちいちムカついてた

イライラする




女の名前はすぐにわかった





成瀬泉…



「3組の成瀬かわいいよな」


「俺、狙ってたのに」


「新田だろー」



知ろうとしなくても目立ってたからいやでも覚えた




成瀬泉。



いつみても凛としていて完璧


キレイとかかわいいとかそんなんじゃなくて成瀬泉にしかない雰囲気



無意識に成瀬泉の姿を探すオレ






廊下で先生を捕まえて教科書を指差しながら何か一生懸命質問している成瀬泉


重そうなごみ袋を一人で引きづりながら捨てに行ってる成瀬泉


一人教室に残って何かしている成瀬泉


試験順位が載った掲示板を見て悔しそうにしている成瀬泉



成瀬泉は完璧なんかじゃない


足りないものを自分で全力で探してんだ

全力で努力してんだ
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