イズミの主義
「はい、わたがし」
「金魚すくいー」
意外にはしゃいでる桐原
今まで見たことのない桐原の無邪気な笑顔にドキドキする
「わたしもやりたいっ」
そしてわたしも笑顔になる
「そろそろ花火上がるかも」
気づけばもうこんな時間…
イヤイヤ来た割にはすんごく楽しんでるわたし
そう気づいて急に恥ずかしくなる
「楽しかった?」
そんなわたしの心を読んでなのか嫌味のようにイタズラに聞いてくる桐原
「…楽しかった」
あー、ムカツク
桐原にはいつも負けてるような感じがする
それに
「今日、全部おごってもらっちゃって…ありがとう」
なーんにも持ってきてない、いわゆる手ぶら
「いーの、女の子はそんなこと気にしなくて」
ニコッと笑う桐原にドキドキする
急に優しくなるんだもん
「泉ちゃん、今日何持ってきたの?」
優しいと思うとそれは一瞬で、急にイジワルになる