イズミの主義
少しすると小さな神社にたどり着いた
大きな木が何本も重なって大きな屋根を作っている
でもそこから見える景色はザーザーと雨が降っている
「わーなんかここだけ晴れてるみたい」
不思議な景色にわたしは一瞬で虜になる
「よかった、泉ちゃんのあんな顔見んのほんとオレ我慢できねぇーから」
文末になると少し強くなった口調にドキッとする
桐原、気づいてたんだ…
それでここまで連れてきてくれたんだ
そう思うと胸に熱いものを感じた
そしてこみ上がってくる罪悪感…
「桐原、ゴメン」
「ん?」
「変なあだ名つけて」
「あぁー」
そう言うとイジワルな顔で真っ直ぐわたしを見る
「なんだっけ、バカ原だった?」
「ち、違います」
「んじゃ、なに?」
「桐原…」
なぜかとても怖くてその聞き方はヤクザとしか思えない