イズミの主義
「帰ろっか」
ん、と当たり前のようにわたしの前に伸びてくる桐原の左手
繋げってこと?
でも、そんな気もないのにこんな思わせぶりな態度なんて…
桐原の左手を見て悩むわたし
「わかってる、オレが繋ぎたいだけ」
桐原はわたしの思ってることをいつも気づいてわたしの不安を取ってくれる
そして桐原はわたしの手を取って桐原の手の平に乗せる
そしてまた熱くなるわたしの右手…
ドキドキしてしまう
『泉、好きだ』
さっきの桐原の言葉を勝手に思い出してもっとドキドキする
なにやってんだ、わたし
帰り道なんて覚えていない
気づけばわたしの家の前で
「風邪引くからちゃんと拭けよ」
そう言う桐原
優しく言うからまたわたしはドキドキする
告られたからって急に意識しすぎている自分が情けない…
これじゃ、桐原の思うつぼだ
「じゃーね」
そう言って手を振って帰っていく桐原
わたしもつられて手を振り返す
ほらね、今日も桐原のペースには勝てなかったでしょ?
でもそれに居心地がいいとも思ってしまう