イズミの主義
「いけるんじゃない…?」
作ったもののなぜ作ったのかわからない
絶対桐原になんか言われそう…
その前に退散、退散
「泉?」
目を擦りながら立っている桐原
いつもなんでわたしはタイミングが悪いんだ……
「作ってくれたの?」
そう言って鍋のなかを覗く桐原
そしてスタスタとソファーの方へ歩いていきドカーと深く腰かける
「こっち持ってきて」
なんという俺様?
持っていかなくても良いんだけどいちよう患者だし?
持っていってあげる
なんて言うのは桐原には言えないから心のなかで思っとくだけ
「どうぞ」
テーブルに置くと鍋からはモクモクと湯気がのぼる
「…」
「…」
?
一向に食べださない桐原
いちようもう一回言っておく
「…どうぞ」
「食べさせて?」
なに?
熱でたら俺様になる体質?
「ムリ、そんぐらい自分でして」
「患者なんだけど?」
いつもだったらここで桐原折れるのに…
仕方がない…
やればいいんでしょ?
やれば
「はい」
一口ぶんのお粥をスプーンに乗せて桐原の前に差し出す
「ん」
近くなった桐原に心臓がトクンと跳ねる
なぜ、わたしが…