イズミの主義




「いけるんじゃない…?」



作ったもののなぜ作ったのかわからない



絶対桐原になんか言われそう…


その前に退散、退散



「泉?」




目を擦りながら立っている桐原


いつもなんでわたしはタイミングが悪いんだ……



「作ってくれたの?」



そう言って鍋のなかを覗く桐原


そしてスタスタとソファーの方へ歩いていきドカーと深く腰かける




「こっち持ってきて」




なんという俺様?


持っていかなくても良いんだけどいちよう患者だし?


持っていってあげる



なんて言うのは桐原には言えないから心のなかで思っとくだけ




「どうぞ」


テーブルに置くと鍋からはモクモクと湯気がのぼる




「…」


「…」




?



一向に食べださない桐原



いちようもう一回言っておく





「…どうぞ」





「食べさせて?」




なに?

熱でたら俺様になる体質?




「ムリ、そんぐらい自分でして」


「患者なんだけど?」



いつもだったらここで桐原折れるのに…



仕方がない…


やればいいんでしょ?


やれば



「はい」



一口ぶんのお粥をスプーンに乗せて桐原の前に差し出す




「ん」




近くなった桐原に心臓がトクンと跳ねる




なぜ、わたしが…
< 126 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop