イズミの主義
「ごちそうさまです」
そう言って胸の前で手を合わせる桐原
結局最後まで食べさせて?は止まらずわたしは隣に座って健気にスプーンを運んだ
なんか明らかに立ち位置間違ってるよね…
イヤ、やっぱり告白されたのは幻想……?
『泉、好きだ』
あのときの桐原の声が頭の中でこだまする
「うわっ」
思い出して恥ずかしくなる
「なに?」
「なんでもない」
告白されたときのこと思い出していたなんて、からかわれるネタにしかならない
食べ終わった鍋を流し台へ持っていく
ジャーー
お湯を出して洗い物を始める
「わっ!!」
桐原が後ろから抱きしめてくる
手は泡々だしどうすることもできない
「ちょ、ちょっと」
「なんでダメなの?」
なんでって…
「お母さんとか帰ってくるよ!?」
そ、そうだ
ご両親が帰ってきてこの状況を見られたら完全にダメじゃん
「帰ってこない」
そう寂しくつぶやいた
「え?」