イズミの主義
「泉ー、これヤバイぞ?」
テレビを見ながら言う桐原
見てみると……
「警報出てるし……」
テレビの上の方に表示される白い文字
こんな一瞬で天気って変わるの?
「大丈夫、一回濡れたらもう一緒だし」
「オレ送ったら濡れんじゃん?」
いや、送ってくれなくて大丈夫です…
「一人で大丈夫だから」
そう強気で言う
するとそれに腹を立てたように
ピカッ
ゴロゴロゴロゴロゴロ
「…っ!」
か、雷……
雷…苦手だ
別に怖いって訳じゃないよ?
音がね、音が…
「これでも帰る気?」
くっそ…
桐原、ムカツク…
「お、お母さんに電話してみるっ」
なにがなんでもここを出てやる
もう意地だ
雨のなかでも帰れるってことを証明してあげる
急いで電話帳からお母さんを探す
わたしの操作の方が早くてケータイがついてこない
"お母さん"
迷わず通話ボタンを押す
『………プルプルプルプル』
なかなか出てくれない…
通話待機音がむなしく静かな部屋にまでも響く