イズミの主義


『あ、もしもし泉?雨すごいでしょ!?』


母の声に安心する



「そうなの!迎えにきてっ!」


『泉、家にいないの?』


「うん…、と、友達の家にいる…」



『お母さんたちね今日田舎のおばあちゃん家に来てて、この雨じゃ帰れそうにないのよ。つばきちゃんのお家でしょ?今日は泊めてもらって』


娘の交友関係の狭さを把握している…




「え、ちょ、ちょっと!!」



『…え、あれ?なんて?……電波が悪いみたい…気をつけてね…』



『プープープープー』




むなしい音が部屋に響く…





どうしよう…





桐原になんて言おう…






恐る恐る振り返ると桐原は笑いをこらえて




「泊まっていくでしょ?」



そう自信満々に言ってくる




静かな部屋には電話の声は全部聞こえるみたい…






「で、オレって泉チャンの友達なわけ?」





イジワルな笑顔…


ムカツク…
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