イズミの主義
「なに見る?」
家にあるDVDを出して泉に選ばせす
「あっ!コレ、わたしずっと見たかったの」
そう目を輝かせるのは少し前に流行ったホラー映画
これは怖くないわけ?
ほんとおもしれーヤツ
さっきと同じようにソファーの端に座る泉
だから離れて座ってもオレがそっちまで行くから
「ち、ちょっと向こう行ってよ!」
泉に体重をかける
「重いーー!向こう行っててば」
泉がオレを押す
それでも負けじとオレは泉から離れない
ピカッ
ゴロゴロゴロー
「キャッ」
小さな悲鳴を上げてオレの腕に抱きつく泉
そうしてほしかったけど、
いざこうなると
どうしたらいいのかわからない
泉を見るとぎゅっと目をつぶっている
ヤベー、これはヤバイ
「あれ、向こう行ってって言ってなかったっけ?」
泉の顔を覗き込むと少し困った顔をしてオレに絡ませた腕をゆっくり外す
そしてオレから視線をそらして向こうを見る
雷が鳴るとオレにひっつき、おさまると離れる
それを何回も繰り返す
でも気づくと雷はおさまっていて
映画の世界へとだんだん入っていく
そしていよいよクライマックスになったとき…
コトン
オレの肩に泉の頭が乗った