イズミの主義





「あっ、ごめん」



それは予想外の泉だった



「いや、こっちこそごめん。どした?」




慌てて平常心を保つ




「ケータイ忘れたと思うんだけど」



「どーぞ」



そう言って扉を開け泉を中に入れる






「あー、あったあった」



笑顔の泉を見てまた改めて好きを実感する




「泉ー」


「ん?」


靴を履く泉の後ろ姿に話しかける




「オレの告白保留にしてんの忘れてねぇーよな?」



「えっ、あ……うん」



1ミリも振り向かない泉



オレの事ぐらい見ろよ




思わず泉を後ろからぎゅっと抱きしめる



泉はビクッと驚き体に力を入れる




はぁー

オレまだまだじゃん



全然泉の心に入ってねぇーじゃん



「泉…オレの事ちゃんと見とけよ?」




オレに無関心なよりこうやって嫌われてる方がまだマシか

< 146 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop