イズミの主義
◆縮まらないキョリ
*泉*
「ねぇ、泉」
「ん?」
「あの子、泉のこと睨んでない?」
朝、教室に向かう途中つばきが笠木さんを指差して言う
「あ、やっぱりそう思う?」
「完全に桐原絡みだな」
つばき今日も全開だな…
「わたしもそう思う…
なんか誤解されてる」
「あぁー、モテる女はつらいねーー」
「ちょっと!つばき声大きい!」
でもこうやってバカやって元気付けてくれてるのはわかってる
笠木さんの視線が嫌な過去を思い出させる
でもこれにはわたしにも原因あるし…
やっぱり、桐原とハッキリさせなきゃ
「泉、気にすることないんだからね?」
「う、うん」
とは言われてもね…
「成瀬、おはよ」
後ろを振り向くと
「あ、小森おはよ」
「こらー予鈴なってるぞ、席つけ」
先生のその声でわたしたちは席に着いた