イズミの主義





「成瀬、今日は一緒に帰ろうな」



委員会へ向かう途中、小森が急にこんなことを言い出した




「え、?」



「今日は桐原が来ても成瀬と帰るから」



そう言うと小森は何もなかったかのように教室に入った





「おい、一班遅いぞ」


担当の先生が少しイラついた声で着席を促す





「すいません…」



さっきの


どういう意味…?






もしかして…


小森って…



ハハハハハハ



いや、それはないよな




うん、ないないない






「……るせ、成瀬」




「は、はい」




先生の声で我に返った





わたしなんてこと考えてんだ



恥ずかし





「というわけで、桐原と一緒に買い出し頼まれてくれ」





「…はい、えっ?」



「じゃあ、解散
今日もみんなお疲れさんな」





買い出し…?






「泉、ボーっとしてオレのことでも考えてたの?」



後ろを振り向くと桐原が立っていた




桐原のそんな発言に笠木さんの視線が気になる





無意識に視線は笠木さんを探す





…睨まれてる



そうだよね




好きな人が違う女の子と話してるなんて嫌だよね…






「ごめん、今日用事あるから買い出し行けない」




「じゃあ、明日にしようか」




「あ、明日も行けないから

か、笠木さんと行ってきてっ」




「はぁ?」



「押し付けてごめん、今度また埋め合わせするからっ」




そう言うと逃げるように教室を出た

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