イズミの主義
はぁー、わたし何やってんだろ
何がしたいのかさっぱりわからない
「なーるーせー」
「あ、小森」
校門をちょうど通った時、小森がわたしを呼んだ
「約束忘れんなよ、軽く傷ついてんだからな」
ハハと笑いながら小森は言う
そしてごく自然にわたしの隣に立ち歩き始める
そしてつられてわたしも歩き始める
「なぁ、成瀬」
「ん?」
「なんか悩んでんの?」
「えっ?」
「なんか悩んでるように見えるからさ
まぁ、言いたくなかったら無理に言わなくていいけど」
悩んでる…?
そして思い浮かぶ桐原
ううん、悩んでない
決めたことを実行する勇気がなくて
ちょっとへこんでるだけ
「んーー、するべきことをまだしてないからモヤモヤしてるだけ」
「まぁ、話ぐらいは聞くからさ」
「えっ、ありがとう」
小森と別れ、とぼとぼ家に向かう
はぁー
なんでこんなため息出るんだろう
何でこんな気分が沈んでいるのか
自分自身もわからない
「あっ」
家が見えてきたとき
わたしの心は大きく動いた