イズミの主義



あと一週間もすれば体育祭も終わって




実行委員長でもなくなって





本当に桐原とはなんにも無くなるんだ





話さなくもなって



目も合わせなくなっていくんだ





ほら、こんなもんだよ





出会ったときからあいつチャラ男だったし


わたしもそれを認識してたし





ちょうどいいじゃん





はぁー




もう桐原のことなんか考えない




「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ 我が衣手は 露に濡れつつ」





「ちょっと泉、百人一首詠むのやめて


周りからの視線も痛いよ」




「わたしは集中してるの、話しかけないで」



「なにがあったの?

あんたいつも悩み事あるときそういうの覚えるよね

前はなんだっけ…春はあけぼののやつ覚えてたし」




「なんにもない!」




「はいはい、そうですか」




だって今さら言えないじゃん…




どっかで気付いていたけど





今まで見ないフリして奥のほうにつめてた


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