イズミの主義




「なんで?」




「俺のこと嫌いだからじゃね?」





「そうだね」




「フラれたんだね、啓」


永司が真顔でまっすぐそういう




イテー


心臓が締め付けられる


なんだよ、コレ





「永司、そんなことストレートに言わないの」




片岡のフォローがもっと傷つく






「で、それであきらめるわけ?」




「…」




「泉のこと全然よく見てないんだね」




「はぁ?」





「俺もそう思うよ、啓

つばきが何に悩んでいて、何でテンションが高いのか
俺はわかるよ


つばきを見てるから」





泉を見てない………?





その言葉で思い出す泉の顔




笑ってる顔


怒ってる顔


焦ってる顔


気持ちよさそうに寝ている顔


悩んでる顔





「泉の周りでなにが起こっているのかちゃんと見てあげて」





そして思い出す、俺に向けた壁を作った笑顔…







あー



俺、バカだな





泉の何を見てたんだろう





やっとわかった




泉がなにを考えてるのか…


何に悩んでるのか…


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