イズミの主義
次の駅に着くと人は全く降りないのに、また人が乗ってくる
あわわ、持つ場所がない…
気づくとわたしの視界は桐原の胸だけだった
熱が上がっているのがわかる
電車が揺れるたびに頭が桐原の胸にあたる
「もう寄っかかって大丈夫ですよ」
「大丈夫です」
……………??
………あれ、これどっかで…
ふと見上げると桐原の笑顔があって
「思い出した?」
って優しくわたしにささやく…
「…」
………あっ、もしかして!?
そう思った瞬間
『新朝宮ー、新朝宮です』
駅に着き、人がザーーッと降りていく
その人の波にわたしの言葉は遮られる
「泉、こっち」
そう言ってわたしのうでを優しくつかんでホームに降ろしてくれる
「き、きりは「いーーーーずーーーーみーーーー!!」
わたしの言葉を遮って誰かがわたしを呼ぶ
振り返ると予想通りつばきで、隣には緒方くん
「泉、おはよ!ゲッ、桐原啓だ」
「成瀬ちゃんおはよ。ゲッ、桐原啓だ」
「お前らなーー」
「「キャーー」」
悲鳴ではない悲鳴がホームに響く
ほんと、騒がしいんだから
でもこの何とも言えない4人の空間が好き