イズミの主義




「桐原クン、ずいぶん荒い手使いますね」



そう言って笑うつばき




でも桐原はそんなの無視して


「成瀬さん、悪いけど最後のリレーの準備、先にしてもらってていいかな?」




「え、あ、はい」




また壁を作った言い方……



そう言われたあとに桐原の顔を見るのは辛い



こんなちょっとした言葉だけにわたしの気持ちは振り回される




グラウンドにもどる桐原の後ろ姿を見送り立ち上がる




「つばきわたし行くね」




「泉!?」




「大丈夫、わたしちゃんと受け止めてるから」




励まそうとしてくれてるのに…


つばきごめんね、



でも今はその励ましさえもわたしを切なくする…




「待って、連絡先教えてよ」


そう背中から聞こえる



「お前ら空気読め、早く散れ」




つばき…



言葉はとてつもなく悪いけど



つばきの愛はとてつもなく伝わってくるよ




ありがとう


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