イズミの主義



お決まりになってるこの体勢



こういうのは諦めてじっとしてるのが一番いい



何も言わず真っ直ぐ前を見る


なんにも見えなくて桐原の胸の辺りに視線を止める



「どうした?」


少し心配したような声でそう言うと
わたしの顔を覗き込んできた



わたしの視界は一瞬で桐原だけに…


思わずビクッと驚いてしまう



むかつくけどかっこいい

イケメンに弱い自分がほんとに情けない




驚いているわたしを見て味をしめたのか
イジワルな笑顔でもっと近づいてくる



「なんも言わないのはチューしてほしいから?」


なんて顔色一つ変えず言う桐原



ムカツク




「バーカ」


桐原を押して離れる






チーーン




タイミング良く開いたエレベーターのドア


一度桐原を睨んで駆け足で降りる







はぁーー



こんなんで乱されてる自分がムカツク
< 52 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop