イズミの主義
お決まりになってるこの体勢
こういうのは諦めてじっとしてるのが一番いい
何も言わず真っ直ぐ前を見る
なんにも見えなくて桐原の胸の辺りに視線を止める
「どうした?」
少し心配したような声でそう言うと
わたしの顔を覗き込んできた
わたしの視界は一瞬で桐原だけに…
思わずビクッと驚いてしまう
むかつくけどかっこいい
イケメンに弱い自分がほんとに情けない
驚いているわたしを見て味をしめたのか
イジワルな笑顔でもっと近づいてくる
「なんも言わないのはチューしてほしいから?」
なんて顔色一つ変えず言う桐原
ムカツク
「バーカ」
桐原を押して離れる
チーーン
タイミング良く開いたエレベーターのドア
一度桐原を睨んで駆け足で降りる
はぁーー
こんなんで乱されてる自分がムカツク