イズミの主義



改札を抜けると急に誰かがわたしの前に立って道をふさぐ


な、なにっ


右に行っても、左に行っても


ピッタリと息が合う


もう、邪魔!!


相手を見ると



「き、桐原!?」


「こんばんは」



その声はとってもとっても低くて


とってもとっても不機嫌



「どうしていんの?」


「待ってたからいんの」


そう言うとわたしの右手をつかんでどんどん前に進む



「ちょ、ちょっとっ」


桐原の手はがっしりわたしをつかんで離さない


その手は思ってたより大きい


背中も…



見上げるほどの桐原の背



イヤイヤ、今はこんなこと思ってるときじゃない
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