イズミの主義
主義、その3

◇ナンパのチャラ男



わたしは固まっている



とても動けない



なぜなら授業が終わり桐原が余裕たっぷりにこっちを見ているからだ




おそらく『オレから離れんな』宣言をされたわたしがどんな行動をするのか試してるのだろう



目を合わせないのが賢明




「成瀬ー帰ろーぜ」



そんな小森の声がすると桐原の視線はもっと強くなる


「あーーごめん、今日急いで帰るから」


「気をつけろよ?」



小森の誘いを断ったのは決して桐原のためじゃない


あくまでわたしの主義に則ってである

そのため桐原の言葉なんて聞かない




うん、そうだよ

今まで通りわたしの主義を通せばいいんだよ



そしたらわたしらしくいられる




そう思うとわたしの気持ちは一気に軽くなった




桐原を見ると余裕な表情でわたしを見ながら頬杖をついている



わたしはニコッと一回愛想笑いを返して教室を後にした


こうするのがわたしでしょ?

今までなんてわたしらしくないもん





でも、いちよう


駅までは走っていった

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