イズミの主義


「今回はほんと私マジなの!」



恋多きつばきからこんな言葉はもうなん回も聞いている


「で、どんな人?」


これももうお決まりの質問



「それがねー、まずかっこい「ねぇねぇ」


つばきの言葉を遮って誰かが声を掛けてきた


「二人?良かったら俺らと一緒にどう?」


めんどくさいのが来たよ


断ろうとつばきに目で合図を送ろうとつばきを見る


しかし、つばきの目はもうハートだ


男の顔を見る


うん、つばきのタイプの顔だ


ちょっとヤンチャなイケメン


「えー、でもー」



断る気はさらさらないのに、もったいぶるつばき


この子ほんとやり手だわ


「いーじゃん、いーじゃん!
お昼ご馳走するし、ねぇ?」



つばきの計画にまんまとハマる男


笑いをこらえるのにわたしは必死


「うーん、じゃあ一緒に行こうかな」

と、同意を求めるようにわたしを見る


でもつばきの顔は同意なんて求めてない


この子行くって決めている


「そうだね」


わたしも愛想笑いをしながら返す

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