コンパス〜いつもそばで〜
≪宮下秀之≫
「おうっ、おつかれー」
クラブハウスの中、室内で別メニューのトレーニングをこなしてロッカールームへ行くと、ちょうど外から戻ってきたタカシと一緒になった。
「おつかれー」
「どう、調子は?」
そう言って、タカシの視線は足首へと行く。
「んー、まあまあってとこ」
みんなと一緒に練習をしようと思えば、痛み堪えて出来るだろう。
だけど、今、無理をすべきかと聞かれたら、答えはノーだから。
焦って無理をして、怪我を長引かせるのは違うから。
もし、彼女ならこう言うだろう
『今は、身体が休めって言ってるんだよ』
って。