コンパス〜いつもそばで〜




「とうとう俺のライバル出現かぁ」


車の中、助手席に座っている俺にわざと聞こえるように独り言を言いながら運転する、この車の持ち主タカシは、俺の顔をチラチラと覗き見する。



「何?」

なんだよさっきから。
訳分からないこと言って。
何か言いたいことあるならはっきり言ってくれよ。



「前田さん」


意味深に彼女の名前を口にするタカシに、クラブハウスの中でもタカシが彼女の名前を言っていたことを思い出す。



「タカシ〜」

「ん〜?」

「なんで前田のこと知ってるわけ?」

「ん?俺と前田さん、仲良くなったから」


楽しそうに答えるタカシに、


「あ、そう」

そう返事をしたものの、なんとなくモヤモヤする。

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