コンパス〜いつもそばで〜


「ヒデのこと『宮下くん』って呼ぶ子、何人かいるけど、あの子の『宮下くん』って、ほんまもんだよな」


うんうんと頷いてしみじみとそう言うタカシは、そう思わない?って聞いてくる。


「なんだよ、それ」

本物ってなんだよ


「さぁな〜。フォワードの臭覚ってやつ?」

楽しそうに笑うタカシはそう言って、

「前田さんは、俺のライバルってとこかな?
ヒデは渡せねーっ」

って嬉しそうにまた笑った。

「わけ分かんねぇ」

「何が〜?」

「前見て運転しろよ」

さっきから、俺の方ばかり見て危ないって。


でもケラケラと楽しそうに笑うから、つられて笑ってしまう。

変なヤツ


けど、そこがタカシのいいところなんだよな。

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