コンパス〜いつもそばで〜
それから四日後の土曜の夜
独り暮らしのアパートで、夕食の野菜炒めを作って食べようと手を合わせた、ちょうどその時、充電中の携帯が音を立てた。
相手は、コウくん。
「もしもし?」
『あっ、前田?』
「うん」
『今、どこ?』
「家だけど?」
『前田ん家のテレビって、BS見れるんだっけ?』
「うん、多分」
確か、このアパート全体でアンテナが付いていたと思うんだけど
『すぐBS1にしてっ』
「え?」
何?
『宮下が出てるからっ』
「えっ?あっ、ちょっと!」
コウくんは、それだけ伝えると急いでいるのか、直ぐに電話が切れた。