コンパス〜いつもそばで〜
「あっ!」
三人目のディフェンスを引き寄せて、ペナルティエリア手前に走り込んだ味方にパスをしたと同時、倒れ込む。
“ピピーッ”
審判の笛が鳴り、相手のファールを知らせるも、彼は倒れ込んだまま足首を押さえている。
宮下くんっ!
大丈夫なんだろうか。
この間、怪我をした箇所をまた痛めたんじゃないだろうか。
不安になる
心配になる
痛そうな表情をしながらも、相手選手の差し出した手を掴み立ち上がった。
応援席から
『ヒ〜デッ!ヒ〜デッ!ヒ〜デッ!』
と、宮下くんコールが聞こえ、それに応えるかのように、右手を軽く挙げた彼は、足の違和感がないか確認するように芝を踏みしめながら小走りをし、ポディションについた。