コンパス〜いつもそばで〜
「いや、そういう意味じゃなくて」
お前が食べたくもないケーキを勧めるから勢いに任せて頼んでしまったんだろう、この彼は
なぜ、分からん?
「いえ、大丈夫ですから。チーズケーキ好きですから。すんません。なんか、ほんと」
何故か彼が謝ってくるから、
「いやいや、こっちこそ、すんません」
何故か俺も頭を下げる。
「何してんの?二人とも」
そうして、タカシの呑気な声に、
「あのなぁ、」
ため息と共に説教をしようとすれば、
「あのっ!」
突然、大きな声を出した隣の席の彼に驚いて、肩がビクリとなった。
彼を見ると、
「宮下選手」
と、俺の名を呼んだ。