コンパス〜いつもそばで〜
「俺が好きなのは、沙耶の方です。でも沙耶は、梶野が好きで、梶野は前田のこと好きだから……
俺としては、梶野と前田が上手くいったら、俺も沙耶とって思うけど、でも、前田のこと思ったら、俺が犠牲になっても仕方ないかって思ったり。って、何言ってんだろ、俺」
「つまり、あれか」
タカシが笑いを堪えるように話しかけた。
「あんたは、前田さんのこと、友達として心配なんだな」
「そうっ!それです。それっ」
伝わったことが分かって嬉しいのか、興奮気味に返事をする彼に、タカシは、うんうん、分かるよ〜と頷きながら、
「よかったな〜、ヒデ」
楽しそうに、話をふってくる。