コンパス〜いつもそばで〜
けど、前田の連絡先を受け取るのは違う気がして、ルーズリーフを受け取るのを拒否すると、
「あいつ、きっと待ってますよ。あなたからの連絡」
そう言って、ルーズリーフを俺の目の前のテーブルの上に置くと、
「じゃあ」
そう言って、席を立って会計を済ませて出ていった。
「え、あっ、ちょっ!」
紙の上には11桁の数字。
前田の連絡先が書かれていた。
いいんだろうか、これ……
「あ……」
タカシの声に顔を上げ、視線を追うと、隣の席には手をつけていないチーズケーキがあった。
ほら見ろ
本当は、コーヒーだけでよかったのに、タカシが強引に勧めたから
「やっぱ、ガトーショコラの方がよかったのかな」
「いや、違うだろ」
ポツリと呟いたタカシに突っ込みを入れた。