コンパス〜いつもそばで〜
―――――……
「変わってないな、全然」
勢いまかせで訪れた母校。
二年前まで毎日通っていた高校は、あの頃のまま。
グラウンドからは、生徒たちのかけ声や、大きな声、ボールがラケットに当たる音や、誰かがグラウンドを駆ける足音、色んな音が聞こえてくる。
そうして校舎の向かいからは、時折金管楽器の音色が。
放課後特有の賑やかさが、ここにはあった。
目を閉じれば二年前にタイムスリップしてしまいそう。
“あす〜、帰りにアイス食べて帰ろ〜”
“見て見て!高坂先輩!やっぱカッコいいよねぇ”
“あす〜”
“明日美〜”
友達と語り合って、笑い合った日々
“ここが俺の居場所だった”
あの頃の宮下くんを思い出して目を開けた。
確かに、彼は、ここにいた。
ここが彼の居場所だった。
その場所に、今、私は立っている。