コンパス〜いつもそばで〜
思った通り、ボールはエマーティ大阪が保持する時間が多くなった。
自然と宮下くんにボールが集まる。
彼がボールを持つと、まるでスイッチが入ったかのように、流れが一気に速くなり、時々、“オォッ”と歓声も挙がった。
しかし、なかなか点が取れない。
対して、相手は、守ってカウンターを仕掛けてくる。
試合は1対1のまま、残り時間5分となった時、この流れを変えたのは、やはり、エマーティ大阪16番、宮下くんだった。
ハーフライン付近からボールを奪うと、そのまま一気にドリブルで駆け上がる。
右サイドに走っていた選手にパスを出し、ワンツーで相手のセンターバックを背にパスをもう一度もらうと、そのまま、左足、アウトサイドでシュート!
ボールは、キーパーの足から1m程離れた場所に転がり込んで、ゴールネットを揺らした。
ゴール!
これが、宮下秀之のプロ初ゴールだった。