コンパス〜いつもそばで〜
今日は、楽しかったね。と沙耶たちと別れて1人アパートに戻る。
靴を脱いで、真っ暗なアパートに電気を点けたと同時、鞄の奥に入っている携帯が音を鳴らしながら震えた。
ゴソゴソと鞄をあさるが、早くとらないと電話が切れてしまうかも。と思えば思う程、他のものが邪魔をしてなかなか取れない。
「あったっ!」
着信相手を確認する余裕なんてなく、通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『……もしもし。俺、宮下』
「え?……宮、下……くん?」
あの、宮下くん?
私の知ってる、宮下くんなの?
『うん……ごめん、突然で。驚いた?』
その声は、間違いなく宮下くんの声だった。
先ほどまでピッチを駆け抜けて、ゴールを放った宮下くんからだった。