コンパス〜いつもそばで〜
『一日遅れだけど、誕生日、おめでとう』
「っ……、なん…で…」
なんで、私の誕生日知ってるの?
『ん?違った?』
「ううんっ!違わないっ。ただビックリしただけ」
ありがとう。あなたと同じ二十歳になりました。
『なぁ、前田』
「うん?」
『明日、何か予定ある?』
「ううん。明日は別に何もないけど?」
『明日、会えないかな?』
「え?」
『俺、午前中で練習終わるし、その後、フリーだから……どうかな?』
「うんっ!じゃあ、練習が終わる頃、練習場に行くね」
思わず、勢いよく返事をした。
おやすみなさいと互いに告げ、通話ボタンを切る。
明日、会える
宮下くんに。
選手としての宮下くんじゃなく、私の知ってる宮下くんに、会えるんだ。
夢じゃ、ないよね。
通話記録を見ると、そこには、知らない電話番号
登録しとかないとな。
≪宮下くん≫
電話帳に大切な人の名前が刻まれた