コンパス〜いつもそばで〜
「宮下くんが、可愛く『お願い』ってウィンクでもしたら、ノート取ってくれるって」
「ウィンクって、……こう?」
「ぷっ…」
「ちょっ!笑うなよ」
「だって!可笑し〜んだもん!可愛くな〜い」
「おまっ!言ったな、こら〜」
「アハハハハ」
あなたとの別れは寂しくて、それでも最後まで笑っていたくて、二人無理してはしゃいでたっけ。
私にとって、彼と過ごした一年は濃い時間だった。けれど、彼にとっての一年は、どうだったんだろう。
あなたの人生20年のうち、私と過ごした一年を覚えてくれていますか?
―――……
――――――――……
「きっと、むこうは覚えてないと思う」
そう
きっと、覚えてなんてない。覚えていたら奇跡だ。
たった一年のお隣どうしなんて、覚えてなくて当然……