コンパス〜いつもそばで〜

≪宮下秀之≫



「ヒデ〜!こっち向いて〜」



クラブハウスのロッカールームで練習着に着替えていると、二つ年上の先輩のヤマさんに声をかけられた。


ヤマさんの方を向いたと同時、パシャリとシャッター音がする。



「な、なんっすか?」

突然なんだって言うんだ?


「へへっ。ヒデの激レア生着替え。ブログに載せよ〜っと」


楽しそうにそう言って、スマホを触っているヤマさんは、最近、ブログを始めたらしく、毎日、色んなチームメイトの写メをとって遊んでいる。


「あっ、俺も載せてくださいよ〜」

「お前は遠慮しとく」

「うわ〜っ、寂しー」

「仕方ないから俺が撮ってやるって。はい、ポーズ!」

「って、それ、俺写してないじゃないっすかっ」


賑やかなロッカールームに笑い声が響く。

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