コンパス〜いつもそばで〜
ふっと、視線が絡まったように感じて、思わず逃げるように目を逸らしてしまう。
なぜか、見てはいけなかった気がして。そんな素顔の彼の視線をなんとなく感じて、顔が上げれなかった。
キャッキャッとはしゃいでいた男の子の声が聞こえなくなり、顔を上げると、グラウンドにはもう誰もいなくて、観覧席から引き上げるファンの人たちの姿があった。
流れに任せるようにその場を立ち去り、クラブハウスの前へ来ると、そこには先ほど観覧席にいた人たち以上の多くのファンの人たちの姿があった。