コンパス〜いつもそばで〜
ずっと一緒にやってきた仲間の日本代表入りは自分のことのように嬉しかったけれど、どこかで素直に喜べない自分もいた。
タカシは世代別日本代表だというのに、自分は全治3ヶ月の怪我。
悔しかった
けど、どうしようも出来くて苛立ちしかなかった。
焦る毎日だった。
他の仲間たちはどんどん先へと進んでいるというのに、何も出来ない焦りがあった。
そんな焦りを分かっているかのように実家から連絡があった。
『一度帰ってきたら?』
と。
きっと、この場所から逃げ出したかったんだ。
どうしようもないこの世界から、少し距離を置いて頭を冷やそうと、俺は実家へ帰った。