コンパス〜いつもそばで〜

「大丈夫だよ」

ふと隣から聞こえた彼女の言葉

「何が?」


“大丈夫だ”とか無責任に言うなよ。
何も大丈夫じゃねぇし。
世界に通用しないって分かってんのに大丈夫なわけねぇだろ?



「そうやって、宮下くんは自分が見えてるから。だから大丈夫」

「……」

「まだまだだって分かったら、やること一つしかないんでしょ?
通用するために努力するしかないって宮下くん、いつも言ってるでしょ。
いつか、絶対、活躍するんでしょ?
前向いて進むしかないんでしょ?
ほらっ!落ち込むだけ落ち込んだら、次は這い上がるだけ」


彼女の言葉が自分の進むべき道をはっきりと教えてくれた。



「頑張れ」

「おぅ」

「負けるな」


―――――――…



あの頃一緒に過ごした日々が走馬灯のように蘇る。


あれから四年

俺の前に現れた彼女は、あの頃の少女だった頃の面影なんてなくて、綺麗な女性になっていた。



「前田…?」

気付いた時には、もう彼女は既に居なくて後悔した。


そして、今日
今、ここでこうやって会えて本当によかった――…
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