コンパス〜いつもそばで〜

≪前田明日美≫



びっくりした。

突然手を引かれて、全てを思い出したと言うように私を確認する宮下くんに驚いたけれど、

「よかった」

とほっと一息つく宮下くんが何故か可笑しくて笑ってしまう。


目の前の宮下くんは四年前よりも背が高く、がっしりとしていて、あの頃とは違う。
顔だって、少年のあどけなさも残っていた四年前に比べたら大人の顔へと成長していた。


そんな私の知らない宮下くんが、動作一つで一気に四年前の懐かしい宮下くんに戻った気がして嬉しくなった。



「来てくれたんだ」

そう言って、ふっと笑うその顔が懐かしい。


「うん。電車乗り過ごしてしまって、慌てて降りた駅がここから近くて、来ちゃえっみたいな勢いで来たの」


そう
何も考えてなかった。
ただ、足が勝手に動いていた。

それは多分、もう一度会いたいって、どこかで思っていたから。


「ふふっ、変わってねぇな。そういうとこ」

可笑しそうに笑う宮下くんのその笑顔の方が変わってないよ。


「そう?」

「そ」
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