コンパス〜いつもそばで〜
「今は?」
「ん?」
「学生?社会人?」
そう聞いてくる宮下くんとの会話に二人の間には四年間の空白があるんだと物語る。
「あー、短大生。就活中」
就職活動真っ只中です。
「大変だな」
「ん〜」
「なんだっけ、幼稚園の先生になりたい、だったっけ?」
「え?」
なんで?
「あれ?違った?」
「ううんっ。そうっ!幼稚園の先生」
びっくりしただけ。
覚えてくれているなんて思ってなかったから。
「似合ってる」
そう
あの時、あなたがそう言ってくれたから、今もこうやって目指してるの。
「来週、二次試験なんだ」
「そっか。頑張れ」
「うんっ」
あなたのその言葉だけで頑張ろうと思うのは、なんでだろう。
誰かに頑張れと言われて頑張るよりも、もっと強く、頑張ろうと思うのは、先ほどあなたが頑張っていた姿を見たから。
あなたの頑張りに、自分も負けてられないなと思ったから。